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Vol.24 今度はどんな街に住む?
このblogも今回で最終回。最後は「住まいと街」について考えてみたいと思います。
あなたはこの次、どんな街に住みたいですか? 都心、郊外、それとも田舎?
「どこに住むか」は「子育て期」や「リタイア後」などライフステージはもちろん、「生き方」そのものにかかわるチョイスですよね。
たとえば、同じように都心に勤める同じ世代のDINKSでも、「職住近接で、都会暮らしをアクティブに楽しみたい」という人もいれば、「通勤時間は少し長いぐらいが気分転換できる。自然に囲まれた自宅でリフレッシュ」という人もいました。
また、このところ団塊世代のリタイアが話題になっていますが、定年を期に移住する人も少なくありません。その選択も、人それぞれ。同じ郊外の団地の一戸建てから、かたや都心のマンションへ、かたや海のそばの別荘地へ。
私が取材したある別荘地には、団塊世代の人がたくさん移り住んでいて、「読書会」や「合唱クラブ」などの活動を通して新しい交流が広がっていました。中には、現役時代に住んだ街を離れることで、職業を背景とした人間関係から解き放たれ、人との接し方さえ変わった、と語ってくださった方も。
「どこに住むか」は住居費も大きく左右します。住まい選びに行き詰まったら、街選びを変えてみるのも一方法。
通勤に便利な大阪府内に家を建てたくて、3年も土地を探し続けたのにダメだった、というご夫婦。ほんの一駅、県境を越えたところまで範囲を広げたら、駅近で環境のいい土地がたやすく見つかったそうです。
また、東京では、西より東のほうが住宅価格が安い傾向があります。ある旅好きのご夫妻は、かつての下町にできたマンションを購入。東京駅に行くにも成田空港に行くにも便利で、しかも都心よりずっと安かった、と喜んでいらっしゃいました。
新しい街を検討するときは、できるだけいろんな日時・時間帯に現地を歩いてみることをおすすめします。同じ街でも、昼と夜、平日と休日ではずいぶん雰囲気が変わるからです。治安や交通の便を確かめるのにも役立ちます。
この街に住もう、と決めたら、自分の住まいがその街にどんな影響を与えるか、ということにも目を向けてほしいな、と思います。
たとえば、大きなマンションがひとつできれば、その街の人口構成や人の流れ、近隣の風景も変わります。それを意識するとしないとでは、住まい選びも変わるのではないかと思います。
先日、ある著名なマンガ家さんが、派手な外観の家を建てようとして近隣の反対を受けていることが話題になりました。
家づくりで「自己表現」することは否定しないけれど、周りを顧みない「自己主張」はいただけません。家をつくることは風景をつくること。街がよりよくなれば、自分の住まいの価値だって上がるはずです。
住むことは街に参加すること、という意識、忘れずにいたいですね。
* 都会的・閑静・街並みの新旧・・・どんな個性の街に住みたいですか?
* 商店・学校・医療機関・公園・・・生活に必要な施設は揃ってますか?
* 住み心地を知るには、昼夜・平日休日、なるべくいろんなタイミングで現地を歩きましょう。
* 街の一員として、風景づくり・街並みづくりに意識を向けよう
あたらしい教科書〈10〉住まい
作者:萩原 修
出版社/メーカー: プチグラパブリッシング
価格: ¥ 1,575 (税込)
「自発的に何かを学びたい人のためのファーストブック(帯より)」、「あたらしい教科書」シリーズの1冊。「住まいと行為」「住まいと人」など、暮らしから住まいを考える構成に共感できます。各章は、複数の執筆者が分担しています。やさしい語り口で、押しつけがましくなく読みやすい。住まいについて考えたい、すべての人に。
Vol.23 使える・感じる、住まいの広さ
分譲でも賃貸でも、地価の高い都市部で欲しいだけの面積を手に入れられる人は少ないと思います。面積と立地、どちらを優先するか悩むことも多いのでは。
「面積」は客観的だから値段を決めるのには有効ですが、「広さ」はかなり主観的だと思います。まったく同じ部屋であってさえ、空室のときと家具が入った状態とでは、広さが違うように感じられるもの。そんな経験、ありませんか?
ましてや、天井の高さや窓の広さ、間取りが違えば、同じ面積でも広さの感じ方はずいぶん違うはず。と、いうことは、住まいの探し方・使い方によっては、「面積の割に広い」お得なチョイスもありえます。
そこで、ひと一倍たくさんの「住空間」を見てきた立場から、私なりの「広さのポイント」をまとめてみたいと思います。
「広さ」にはふたつの要素があると思います。ひとつは、さきほどの「主観」の問題。感覚的に、広く感じるかどうかということ。
天井は低いより高い方が広がりがあるし、部屋は小さくても窓からの見通しがよければ狭苦しさは感じません。ただ、天井の高い広い部屋でも、平板でがらんとしていると、面積や体積のわりに小さく見えるように思います。
空間が単調だと、私たちは広さや高さを感じる手掛かりを失います。天井なら、高いところと低いところのメリハリがあるほうがいい。大きな部屋なら、家具などで適度に仕切ったほうが、かえって広く感じたりするものです。
このとき、床から天井まで完全に仕切るのではなくて、一部は向こう側が見えることが条件。全部は見えないけれど空間が向こうまで続いていることは感じられる、それが心理的な奥行きを生みます。
広さのもうひとつの要素は、使い勝手。同じ面積でも、間取りや収納しだいで、空間の活用度が変わります。
たとえば、第21回で取り上げた「可変性のある間取り」。部屋を仕切ったり開放したりして、同じ空間を何通りにも使おうというものです。
日本人は本来、畳の上にちゃぶ台を出したり布団を敷いたりして、ひとつの部屋をいろんな用途に使っていました。今は昔より家にいる時間が短いのだから、家族構成や生活時間に応じて、独自の住まい方を編み出すことだってできるでしょう。
最初に書いたことと矛盾するようですが、広さの感覚を「主観」に頼ってはいけません。モデルルームや部屋の内見に行くときは、必ずメジャーを持参して、部屋の内法(うちのり)を測ってみること。間取り図に書いてある寸法は、たいてい壁の厚みまで含まれているからです。
実測した寸法を今住んでいる家と比較すれば、住み心地の予測もたやすくなるはず。そうやって、いろんな空間で実測と体感を繰り返せば、そのうちかなりの「目利き」になれるのではないでしょうか。
* 家の広さには「感じる広さ」と「使える広さ」がある
* 天井の高さ、窓の見通しのよさが部屋を広く感じさせる
* 単調な空間より変化のある空間のほうが心理的な広がりを感じる
* ひとつの空間を時間帯に応じて他用途に使いこなす方法もある
* モデルルーム見学や内見には、必ずメジャーを持参しよう
日本人とすまい 住み心地はどうですか?
作者:リビングデサインセンターOZONE
出版社/メーカー: 建築資料研究社
価格: ¥ 2,200 (税込)
建築家・デザイナーなど住空間のエキスパート10人が「住み心地」について論じる一冊。7つのキーワードのひとつめが「身の丈にあっているか」。ほか、「自然を活かしているか」「心が落ち着く要素があるか」など日本人にとっての「住」を原点から問い直します。日本の伝統的な住まいや歴史を振り返るページも。
Vol.22 家は大きいほどいいの?
「家を変えたい」と考える人は、たいてい「今の住まいは狭すぎる」と感じているのではないでしょうか。そして多くの場合、「家の広さ」は「予算」で決まってしまうように思います。立地条件と、自分が払えるお金との兼ね合いで、ぎりぎり妥協できる面積。
とりあえずお金を度外視するとしたら、どのぐらいの面積が欲しいですか?
あまり狭いのも困るけれど、広すぎて持て余すことだってあるでしょう。のびのび広い気持ちよさだけでなく、適度な狭さにほっとくつろぐ感覚にも、覚えがあるのでは?
今回は、家の面積について考えてみましょう。
「狭小住宅」という言葉を目にしたことはありますか? 最初に使い始めたのは、確かワールドフォトプレス社の雑誌「Memo男の部屋」だったと思います。それからいろんなメディアが「狭小住宅」を取り上げて、今やかなり広まりましたが、改めて考えるとかなり大胆な表現です。
家が「狭小」というのは、ふつうネガティブなイメージですよね。その言葉をあえて使って、肯定的に捉えている。
「狭小住宅」に定義があるわけではないけれど、おおむね20坪以下の敷地に建つ一戸建て住宅を差すことが多いようです。「9坪ハウス」なんていうデザイン住宅もあって、戸建て住宅は小型化しています。
一方で、マンション1戸あたりの面積は、わずかながら広くなっているように思えます。統計データにはワンルームも含まれるので一概にいえないけれど、ファミリータイプでは「100平米超」をセールスポイントにする分譲マンションが増えました。
「狭小住宅」は3階建てでさえ100平米に届かない例が多いので、「床面積」の単純比較では、もはやマンションと一戸建ての間に優劣はないといえそうですね。
とはいえ、家の「広さ」を決めるのは「床面積」だけではありません。天井の高さや窓の大きさによって、「体感的な広さ」は随分と違ってくるものです。
雑誌などで「狭小住宅」がもてはやされたのは、限られた面積をいかに広く使うかという知恵と工夫が、読者の興味をひいたからでしょう。
ということで次回は、面積だけでは測れない、「住まいの広さ」を考えたいと思います。
*都市部では、敷地20坪を切る「狭小住宅」がブームに。
*分譲マンションでは100平米を超えるファミリータイプが増加傾向。
*家の広さは「面積」だけでは測れない。
それでも建てたい!!10坪の土地に広い家―「ちっちゃな家」の空間3原則
作者:杉浦 伝宗
出版社/メーカー: 講談社
狭小住宅のパイオニアである、建築家・杉浦伝宗さんの著書。小さな家を広く使い広く感じるための知恵の数々が惜しげもなく公開されています。注文住宅を建てる人に向けた本だけれど、その基本的な考え方は、マンション住まいやリフォームにも応用できそうです。
Vol.21 住まいは何年単位で考える?
欧米では、子供がごく小さいうちから、親とは別に個室に寝かせると聞きます。確かに、ホームドラマなどで、おやすみのキスのあと、パパとママが部屋を出てドアをぱたんと閉じる、なんてシーンを見かけます。
翻って日本では、子供が小学校の低学年ぐらいまでは「親子川の字」で寝るのが一般的。私が取材してきた新築の家でも、ほとんど例外はありません。もっとも、「川の字」に父親が加わるか加わらないかの違いはあるようですが・・・。
こんな親子関係から「個室不要論」が出てくるのかもしれませんが、それも子供の年齢によりますよね。子供はすぐに大きくなる。すると間取りも変えなければならないのでしょうか。
子供がある程度の年齢になったら、個室を欲しがるのは当然のことのように思えます。その個室の作り方にもいろんな考え方があるのは、前回お話ししたとおり。
親の目が離せない幼児期、ときにはひとり集中することも必要な学齢期、さらに大学生・社会人になってから・・・。それぞれ最適な環境は異なるでしょうが、期間としては、せいぜい5年から10年。さらには子供が巣立ったあとの住まいをどうするかという問題もあります。
家族の成長に応じて住み替えられるならそれもいいでしょうが、ひとつの家に住み続ける場合、入居時に最適だった間取りは、いずれ不都合が生じる可能性がある。
そこで、近ごろは間取りの「可変性」が注目されるようになりました。
たとえば、最初はがらんとした「一室住居」的な間取りでも、いずれは壁を立てて仕切れるように窓や出入り口を配置しておく。
または、可動式家具や引き戸を利用して、仕切ったり開いたり調整できるようにする。この方法は、狭い空間の有効利用にもつながります。
最近は、分譲マンションでも、引き戸や可動壁で調整できる間取りが販売されるようになってきました。
また、建物の骨組みと、部屋の内装や設備機器を切り離し、リフォームしやすくした「スケルトン・インフィル」のマンションも登場しています。
家族の成長や暮らしの変化に合わせて、間取りや設備だけ変えられれば、建物そのものの寿命は伸ばせます。買い替えなどで住む人が変わっても、建物の内側だけ変えればよい。建物が長持ちすれば、資産価値も保たれるでしょう。
「何年持つ家を買うか」「何年住むか」「何年で間取りを変えるか」。それによって住まい選びの視点は変わるはず。未来は予測不能ではあるけれど、買う前建てる前に、一度じっくり考えておくのも無駄ではないと思います。
* 家と家族の未来年表を書いてみる
* 購入・建築後何年目に家族の誰が何歳で、何をしているか予測をたてる
* リフォームや使い回しの視点から間取りをチェックする
* 検討する物件の耐久性について、営業マンや設計者に尋ねておく
主婦が考案した住みやすい家102の知恵―使い勝手のよい設計プラン実例集
作者:竹岡 美智子
出版社/メーカー: 講談社
価格: ¥ 1,470 (税込)
女性建築家・竹岡美智子さんが実例をひきながら間取りのポイントを伝授。部屋ごとの考え方はもとより、物干し場や冬の扇風機の活用法に至るまで、きめ細かなアドバイスが盛り込まれています。10年前の発行ながら今も増刷を重ね、アマゾンの「住まい・インテリア」部門のベストテンに入り続けるロングセラー。
Vol.20 住まいは親子の関係を変える?
近年、家の間取りと親子関係が、結びつけて語られるようになりました。
その最初のきっかけは、少年犯罪の凶悪化。子供が自室の中で何をしているかわからない。いつ外出して、いつ帰宅したかもわからない。そんな間取りが、犯罪を誘発する要因のひとつではないかと論じられたのです。
最近はもっと前向きに、子育てを助け、親子の交流を保つためにどんな間取りがいいか、という視点から、いろんな提案が行われています。子供に個室はいらないのでは、とか、融通の効く間仕切りを工夫するとか。
そもそも、日本の昔の家に「個室」なんてありませんでした。歴史を振り返るまでもなく、今も、畳の座敷中心の家はたくさん残っているでしょう。部屋の仕切りはふすまだけ、その上は欄間(らんま)で空気はつながっていて、音は筒抜け・・・。
ドアのついた密室性の高い「個室」が一般化したのは、せいぜいここ30〜40年のことです。それなのに、もうすでに「閉じた個室はよくないかも・・・」なんて取りざたされているのだから、日本の家族に個室は馴染まないのでしょうか。
90年代からは、「一室住居」などと呼ばれる、ほとんど間仕切りのない家を提案する建築家が増えました。各自の居場所は、閉じた個室ではなく、ちょっとした壁のへこみや家具で形作られ、もちろんドアなどありません。ひとりひとりのプライバシーより、家族の一体感を優先しようという間取りです。
もう少しプライバシーを高め、なおかつ子供を「引きこもらせない」手法として、「子供部屋の機能や広さを制限する」間取りも増えています。たとえば、子供が勉強する場所と寝る場所を別々にする。個室を狭くすれば、必然的に、子供は個室の外に出てくるだろう、というわけです。
子供が帰宅したら必ず親と顔を合わせるようにと、リビングの中に階段を設けたお宅もよく見かけるようになりました。玄関から子供部屋に直行することのない動線です。
また、最近は、DKの中央部にキッチンを配する「アイランドキッチン」が増えています。その理由のひとつとして、キッチンに立ったまま子供の様子を見られること、また、子供と一緒にキッチンを囲めることを挙げる人も多いですね。
親子にとってどんな間取りがいいか、正解はありません。親子や兄弟の関係にもよるでしょうし、同じ家族でも、年齢によって変化していくでしょう。ということで、次回は「住まいと時間」について考えようと思います。
*子供の外出時・帰宅時、親はどこにいる?
*子供の宿題や試験勉強に望ましい環境は?
*子供はひとりで寝る? 誰と寝る?
*朝食時・夕食時、家族は揃う?
*お互いの声が聞こえる、姿が見える必要は?
住まいと家族をめぐる物語―男の家、女の家、性別のない部屋
作者: 西川 祐子
出版社/メーカー: 集英社
価格: ¥ 735 (税込)
明治から現代までの日本の家族像を、住まいの変化と対比させた近現代史。映画に登場する家や事例をひきながら解説しているので、わかりやすくおもしろい。現代の「親子と間取り」について具体的に知りたいあなたには、以前ご紹介した「頭のよい子が育つ家」「子育てにやさしい住まい」もおすすめ。
Vol.19 家の間取り図に住んでみよう
自分たちが日頃、家でどのように行動しているか振り返ってみることは、間取り図のチェックにも役立ちます。
その生活パターンを、間取り図にあてはめてみればいいのです。朝起きてから誰がどう動くか、家事のダンドリはどうか、帰宅後の行動は・・・などを思い浮かべながら、間取り図の上に住んでみる。
ひとつひとつシミュレーションしていくと、不都合な点、直したほうがいい点がみえてくると思います。
シミュレーションポイントの一つめは、やっぱり家事。たとえば、買い物から帰って食材をしまう、食材を取り出して調理して配膳して食事して片付ける、ゴミを始末する---といった一連の動きを、間取り図の上でなぞってみます。
家事の内容そのものは、どんな家庭もそう変わらないでしょうけれど、それを誰がいつ行うかは、家庭によって違うはず。
たとえば対面式のキッチンは、一見便利そうですが、キッチンからダイニングに行くのに、いちいちカウンターを回り込まなくてはなりません。家族の誰かが配膳や片付けを手伝ってくれればいいけれど、一人で立ち働くのなら、キッチンから食卓まで一直線で行ける配置のほうが便利かもしれない。
また、脱衣室と洗濯機と物干し場、そして衣類の収納場所の位置関係も、ライフスタイル次第。小さな子供を抱える専業主婦と、共働きのDINKSとでは、洗濯をする時間帯も回数も、おのずと異なるはずだからです。
お客さまの多い家庭なら、来客時のシミュレーションも必要でしょう。
たとえば、玄関からどこを通って、どの部屋にお通しするか。トイレを使っていただくときはどうなるか。お客さまの移動の途中に、見られたくないものはないか。また、お客さまがいらしている間、他の家族がトイレに行ったりするときは?
ある奥さまは、「家事をする場所はひとつにまとめたい」と、キッチンと洗面脱衣室、浴室を一直線に並べた間取りをつくりました。ところが、家が完成してみると、洗面室や浴室に行くのに、いちいちリビングを抜け、キッチンを通らなければならないことに気付いたんです。
リビングにお客さまがみえている間は、子供たちはお風呂に入れないそう。残念ながら、シミュレーション不足でした。
間取り図を前にしてのシミュレーションは、ちょっとしたゲーム感覚。ときには子供たちを巻き込んでみると、意外な見方に気付かされるかもしれません。
* 平日の朝、起床から外出までの家族の行動は?
* 買い物から料理・配膳・食事・片付けまでの動きは?
* 洗濯物はどこで出し、洗濯・乾燥・アイロン掛け・収納はどこ?
* お客さまの行動範囲は? そのとき家族はどこでどうしてる?
* 平日と休日、季節による生活パターンの違いは?
人生の教科書 家づくり (ちくま文庫)
作者: 藤原 和博
出版社/メーカー: 筑摩書房
価格: ¥ 882 (税込)
著者は元リクルート社フェロー、東京都における民間出身初の公立中学校長として注目を集めた方です。ご自身の家づくり経験に基づいて書かれた本書は、とにかく中身がぎっしり詰まっている。注文住宅を建てようとする人にはもちろん、住まいについてじっくり考えたい全ての人におすすめ。
Vol.18 新しい家で何をして過ごす?
新しいことを始めるとき、「まずはカタチから入る」という人、多いですよね。実は私もその一人。スポーツを始めるなら、ウェアや道具を揃える、とか、英会話を勉強するなら、とりあえずよさそうな本を買い込む、とか。
手に入れたことだけで満足して、結局本のページは一度も開かないままだった・・・なんて。
本やウェアぐらいなら、ちょっと無駄遣いだったなあ、と後悔しておしまいですが、大枚はたいた「住まい」で同じ失敗はしたくありません。にもかかわらず、「カタチから入る」人、けっこう多いように思います。
たとえば、家の南側には広々としたデッキを。または、新居にはぜひとも書斎を構えたい。よくある希望だけれど、それだけではやっぱり「カタチ」に過ぎない。そこで「いつ誰が何をするか」が見えていないと「無用の長物」になりかねません。
ただ「書斎が欲しい」と主張したって、「お父さん、ほとんど家にいないじゃん」と一蹴されるのがオチ。
それより「家でメールをチェックするために、パソコンを使う場所が欲しい」「本を並べて一覧できる棚が欲しい」「ひとり本を読む場所が欲しい」などなど、具体的な「行為」を挙げた方が、家族だって説得しやすいでしょう。
「いつ誰が何をする」場所かがイメージできると、「カタチ」の発想のほうもぐっと膨らむと思います。
「パソコンを使う」ことが目的なら、何も個室をつくらなくても、ちょっとしたコーナーにデスクを造り付けて配線すれば事足りるでしょう。家族の視線を避けられるような向きを工夫すれば、多少のヒミツは守られます。
また、「本を読む場所が欲しい」だけなら、どこか「すみっこ」に小さな居場所をつくる手もあります。
私が最近伺ったお宅では、リビングから寝室に上がる階段の下に、小さな一人がけの椅子が置いてありました。ちょっとした「隠れ家気分」が味わえて、でも家族の気配は感じられる、なかなか楽しそうな居場所でした。
ここでは「書斎」を例にとりましたが、「行為」を前提に考える方法は、家全体に応用できます。そのときの一番のヒントは、やっぱり「今、どんなふうに暮らしているか」を振り返ること。
新しい家について考える前に、まず、家族それぞれが、家の中でいつ何をしているか、あらためて観察してみるのも、おもしろいかもしれませんよ。
*家族がリビングにいる時間帯は? そこで何をするでしょうか?
*週に何日、一日に何回家で食べる? 調理と片付けは誰がする?
*家族それぞれの就寝時間、起床時間は? 眠るとき気になることは?
*家族の趣味は何? そのための場所や収納は必要?
*新しい家にはどんな部屋が欲しい? そこでいつ誰が何をする?
たたかうマイホーム―住まいの現在、家族の未来
作者: 藤原 智美
出版社/メーカー: 廣済堂出版
価格: ¥ 1,260 (税込)
「『家をつくる』ということ」「家族を『する』家」など、住まいと家族に関する著書の多い芥川賞作家・藤原智美さん。なかでもこの本は、いちばんあとに書かれているだけに、客観的に読みやすくまとまっています。「リビングルーム」「子供部屋」「キッチン」など部屋別の章立てなので、関心のあるところから拾い読みしてもいい。
Vol.17 家を替えたい[理由]自覚してますか
あなたが「家を替えたい」と思う理由はなんですか?
たとえば、リフォームした人にその理由を聞くと、わりあいはっきりした答えが返ってきます。「キッチンが使い物にならなくなったから」とか「部屋数が足りなくなったから」とか、そもそも「老朽化してしまったから」とか。
でも、家を買ったり建てたりした人からは、あいまいな返事しか返ってこないことが多い。「そろそろかな、と思ったから・・・」。
私たちにとって「家」は必需品。「欲しい」というより「必要」だから手に入れる・・・「理由」はなくても当たり前、でしょうか?
雑誌でよく、「買いどき」「建てどき」なんて特集を組みます。その根拠となるのは金利とか税制とか、地価や建築費とか。主に経済やマーケットの情勢です。ライターの私が言うのもなんだけど、読者を「あおる」というか、ちょっと焦らすような見出しをつけることも多い。
もちろん、「買おう」「建てよう」と決めていて、資金の見通しもたっているならば、経済情勢をにらんで「いつ踏み切るか」を決めるのは大事なことです。
でも、「なんとなく」のまま、まわりの雰囲気に流されて「買おう」「建てよう」と決めるのは、本末転倒ですよね。
「なぜ家を買うのか」「なぜ家を建てるのか」、自分でわからないままだと、他人の言葉に惑わされやすくなる。失敗を招きかねません。
何も、無理して具体的な理由を見付けなくてもいい。「なんとなく」欲しいならならそれでもいい。でも、「なんとなく」なんだ、ということをはっきり自覚しておくべきだと思います。
これは、と思う家に出会えれば買ってもいいし、建てられるなら建ててもいい。でも、「なんとなく」なら無理をする必要もない。
それがわかっていれば「なんとなく」気に染まない家を、営業トークにのせられて買ってしまうこともないでしょう。
買うか借りるか、建てるか買うか。答を探る第一歩は、自分のなかの「家を替える理由」にあるはずだと思うのです。
* 「家を替えたい」と思い付いたのはいつですか
* 今度の家には、なるべく長く住みたいと思いますか
* 今度の家に、誰と住む予定ですか
* 今度の家に住む間、どこでどんな働き方をしますか
* 今度の家に、絶対欠かせない条件はなんですか
家をめぐる冒険
作者: 堀井 和子
出版社/メーカー: 幻冬舎
価格: ¥ 1,470 (税込)
14年間家探しを続けているという、料理スタイリスト・堀井和子さんのエッセイ。直接的な提案やノウハウが書かれているわけではないけれど、堀井さんが家について巡らせて綴る思いの中に、「家選び」「家探し」のヒントが詰まっています。
Vol.16 今の住まいこそ明日の住まいの元
前回まで3カ月ほどかけて、住まい方の「選択肢」を考えてきました。
「賃貸か分譲か」「一戸建てか集合住宅か」「新築か中古か」「既製品か注文品か」---実際の住まい選びは、これらの要素の掛け合わせ。まだまだ語り尽くせませんが、このあたりで一度、視点を変えましょう。
「家」から、「人」と、「暮らし」に。
「家」を選ぶ目的は「暮らし」、その主役は「人」。「どんな家を選ぶか」は「どんな暮らしを選ぶか」ですよね。当たり前だけど、でも、「暮らし」って奥が深い。というか、漠然としています。
これからしばらく、「人」と「暮らし」という視点から「家」を選ぶ手がかりを探っていきたいと思います。
これまで、何百もの住まいを訪ねてきました。一面識もないライターやカメラマンを快く迎え入れ、家じゅう見せてくださるのですから、どのご家庭も住まいに満足していらしたに違いありません。
けれどもたまに、はたから見て「何か、ちぐはぐだな」と感じることがあります。
たとえば、建物の雰囲気と、家具やカーテンの雰囲気が合っていない。収納がたくさんあるのに、部屋の中が散らかっている。素敵なアウトドアデッキがあるのに、一度も使われたことがない・・・。
住む人が満足しているならいいけれど、やっぱり、ちょっと、もったいない。どうしてそんなことになってしまうのでしょうか。
それは、「今の暮らし」を振り返らないまま、「新しい暮らし」を組み立ててしまったからではないかと思うのです。
人にはそれぞれ暮らし方の「クセ」があります。性格と言い換えてもいい。おおざっぱな性格の人が、新しい家に引っ越したからって、急に几帳面になれるものでもないでしょう。
ちょっと極端な例ですが、先ほどの「収納があるのに散らかっている」家。このお宅には、扉のついたクロゼットタイプの収納がいたるところにありました。でも、中はほとんど空っぽ。子供たちのおもちゃや衣類は、壁際に置かれたままなのです。
たぶんその人は「収納さえあれば片付く」と考えたのでしょう。でも、問題はそこじゃなかった。小さな子供の世話に追われる身には「扉を開けてしまって、また開けて出す」という行為の繰り返しに耐えられなかったのです。
新生活に夢を膨らませるのは楽しいけれど、日々の暮らしは現実です。地に足のついた夢を描かなければ、実現は難しい。そのためには、「今、自分がどんな暮らしをしているか」振り返るのが早道。
今の住まいを見回して、暮らしとちぐはぐになっているところはありませんか。「したいと思っていたのに実現できなかった」ことは何ですか。それは、住まいを変えれば変わるでしょうか。そう考えてみると、今度の住まいには何が必要か、少し見えてくるのではないでしょうか。
* あるべきものが、あるべき場所にありますか
* 今の家でしたかったけれど、できなかったことはなんですか
* 今の家に足りないもの、無駄だったものはなんですか
* 今の家に問題があるとすれば、原因は、「家」と「暮らし」のどちらにあるのでしょうか
いごこちのいい家に住む!―自分がくつろぐ家づくりのヒント
作者: 辰巳 渚
出版社/メーカー: 大和書房
ベストセラー「捨てる!技術」の著者、辰巳渚さんによる「家を選ぶ技術」。「借家もいい」「中古住宅もいい」「住み継ぐ」という楽しみ方もある---。中古住宅に手をかけて住む、著者自身の丁寧な暮らしぶりが伝わる本。文庫版「家はこんなに変えられる―快適な住まいをつくるコツ」も出ています。








